「子どもが生まれると、世の中に対する考え方が劇的に変わる。以前は、かなり遅くまでミーティングを開いていたが、いまは、週3回、家でお風呂に入れてあげると決めている。一番誇りに思えて、一番幸せな気分にしてくれるのが、私の家族だ」 これは、Facebookの創設者、会長、CEOのマーク・ザッカーバーグの言葉です。Facebookでは社員一人一人が仕事においても、プライベートにおいても輝けるように、多様な働き方をサポートしています。今回は、アジア地域本部のシンガポールで勤務し、働きながら子育を両立している社員に体験談とアドバイスを聞いてみました。
ご自身の仕事とプライベートの両方でインパクトを出すと同時に、ワーク・ライフ・バランスを維持するために、Facebookがどのようなサポートをしているかを教えてください。
Facebookでは社員一人一人が確実なインパクト(結果)を出していけるよう、多様な働き方をサポートしています。時間や場所に縛られることがないので、保育園の送迎ができますし、家族の誰かが病気になった場合や、妻が仕事で忙しい場合など、状況に応じて柔軟に家族をサポートすることができ、その結果、家族との絆もより強まりました。会社として、「社員とその家族が健康で幸せであることが、仕事で良いパフォーマンスを発揮するためにも重要である」という考え方が浸透しており、不測の事態においても、上司を含め周りのメンバーも協力的な点は、非常にありがたいです。
Facebookでは、「優先順位づけ」(Ruthless Prioritization)と「期待値コントロール」(Managing Expectations)がよく話題に出ますが、これらのキーワードは、ご自身にとってどのような意味を持ち、なぜ重要なのか教えてください。
「優先順位づけ」と「期待値コントロール」は背中合わせだと思います。インパクトを最大化するためには、ステークホルダーの重要課題、自分に期待されている役割、自分の得意なこと、の3点の重なる領域に注力することが有効だと思います。この定義がはっきりしていると、「優先順位づけ」も明確になりますし、「期待値コントロール」に必要となるステークホルダーへの状況説明もうまくできると考えます。子どもが生まれてからは働く時間に制限があるので、以前にも増して、この辺りを意識するようになったと思います。
父親になって良かったことと、大変だと思ったことは何ですか?
父親になって良かったことは、日々の生活により感謝を感じるようになったことです。子どもは頻繁に病気になりますし、少しも目が離せません。1日1日が無事に過ぎていくことが、奇跡だなと思うようになりました。また、子どもの成長は非常に早く、自分に残された時間をより強く意識するようになりました。結果として、後悔なく今を生きることの大切さや、親を大事にすること、社会的な課題への関心なども高まったと思います。逆に、父親になってちょっと辛いなと思うのは、完全に一人になれる時間をあまりもてないことです。
まもなくご自身の「リチャージ」制度が利用できますが、この制度の内容と、どのように過ごす予定かを教えてください。
Facebookでは、5年間勤続すると「リチャージ」と呼ばれる4週間の有給休暇を取得できます。これは、社員の燃え尽き(バーンアウト)を防ぐとともに、名前の通り、心身ともに「充電する」ための期間でもあります。ビーチリゾートへ行ったり、普段行かないような遠い国へ旅行したり、といったケースが多いようですが、私の場合は子どもがまだ2歳と小さいので、日本に帰国し、孫に会うのを楽しみにしている両親と、のんびり過ごす予定です。
世の中の働く父親へアドバイスをするとしたら、どんなことを伝えたいですか。
その例として挙げてくれたのがBaby Leave(育児休暇)の体験を語るセッション。育児休暇を取得した社員が、その体験談を他の社員と共有し、育児を直接行った経験のない人でも理解を深めることができるという制度です。
仕事も重要ですが、その影で妻や子どもに負担がかかっていることや、子どもの成長にとって、父親の存在は母親と同じくらい大切だということも承知しています。子どもが乳児でも、父親にできることはたくさんあると思っています。母親にしかできないことがあるのは事実ですが、それを言い訳にせず、自分ができることは積極的にしていきたいと思っています。
仕事と違い、他の人から見て良い父親であるかどうかは、なかなか分からないことなので、妻以外からは評価されにくいかもしれません。でも、まだ幼くても、子どもには伝わっていると思います。多くの時間を一緒に過ごし、多くの愛情を注いだ分、子どもの笑顔に表れると感じています。
母親のサポーターではなく、子育てのメインプレイヤーとして子どもと丁寧に向き合うことで、大きな学びと喜びを日々得ることができています。一般的に職場の理解やサポートの有無によるところも大きいでしょうし、そういう環境があればとても助かりますが、「仕事と子育て(プライベート)の両立」は、大いにチャレンジしてみる価値のあるテーマだと思います。